大陸横断計画第96夜「ただいま日本 さよなら大陸」
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結果から言うと、一睡もしませんでした。
機内は本当に居心地が良くて、本当に、本当に降りたくなくて、機内で文章を生み、日記を書き、目の前のパネルをいじり、ひたすら時間を潰していました。
羽田空港に着陸したのは15時ごろで、本当に時差が発生している、ついにこれが時差ボケというやつかと。しかし別に眠くはないのであんまり気になりませんでした。
羽田では荷物を受け取り、税関と検疫を抜けます。これも初めての経験だったけど特になんの不安もなく。「3ヶ月?何しに行ってたの?」と言われ、「ちょっと旅行を。」と返しました。
『ちょっと』、というのは真意です。強がりでないです。最初の一週間こそ絶望的な時間の経過の遅さ、日が変わるのを心待ちにして日暮らしていました。でもそんな辛い辛い言ってた私の何かが変わったのは、きっとベトナムで日本人旅行者に出会った時だったのかな、と思います。お世話になったのは二人の男性で、そんなに長い時間を一緒に過ごしたわけではなかったけど、勇気を出して声かけて、すごく良くしていただいて。いろんなアドバイスをもらって。そして何より、この世界に日本人は一人じゃないのか、とようやく悟ることができたのが最大の成果でした。自分は一人ではない、これから世界中に仲間ができる、と思うと前へ前へ進んでいく気概がようやく湧いてきたのです。そこからは本当に早かった。いろんな出会いをして、発見をして、経験をして、美しいものをたくさん見て。本当に楽しくて、気がついたらドーバー海峡でした。夢うつつの中で私ははっと気づきました。「なんだ、こんなもんか。」
意外と簡単なことだったのです。3ヶ月かけて香港からイギリスに行くことなんて、本当に簡単なのです。冒険でもなんでもない、ぬるいぬるい旅行なのです。
しかしそれを私は否定しません。したくありません。簡単なことは面白くない、意味がないのかというとそうではないからです。
どれだけぬるま湯に浸かっていても、私が楽しかったからそれでいいじゃないかと。私は本当に楽しかったし、いっぱいいい経験できたし、思い残すことはあまりない。だから、「楽しい3ヶ月だった。」胸を張って、そう言えます。簡単なことをしただけなんだけどね。それでも私の誇りです。えっへん。
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そして関空に着いて、家路に。国内線だからか、本当にあっさりと関空を抜けてバス乗り場を目指します。この時にはもう旅の余韻なんかより、私を待つ友人宅のことやこれからのことで頭がいっぱいでした。早く友人たちに会いたい、この3ヶ月間の話をしよう、日本についに帰ってきた、これから何をしよう。寂しさなんかよりこれからの日本での生活、日常が楽しみになっていました。早く早く着いてくれ、バス。
友人は陽気に、温かく出迎えてくれました。帰ってきたなぁ、今日は寝たくないなぁ。肌寒い空気を噛み締めながら、友人宅へ到着。カップ麺とエビスビールをコンビニで買って、喉元を通す。「ああ、日本最高!!!」
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長い長い、短い短い、96日が終わりました。最初、終わるなんて思ってませんでした。本当に。でも蓋を開けてみればあっという間でしたね。
この旅で得たものは、自分とか、夢とかではありませんでした。
新しい友達、恩人、楽しかった思い出、辛かった思い出、お土産。そしてこのブログと写真。
なんかこう書くとただ遊びに行ってただけに見えるな。まぁ、その通りですね。
うん、楽しかったです。この一言に尽きます、本当に。良くしてくれたみなさん、本当にありがとうございました。よかったらまた遊んでください。
あれこれ語るのはチラシの裏にしときましょう。これから下はベストショット選です。
最終回にふさわしく、エンドロール代わりにしましょう。
それではこのへんで。大陸横断計画、お付き合いいただきまことににありがとうございました。ちぢめて、またこんど!
香港・尖沙咀。知り合った中国人に「聖地」って中国語ではどんな意味?と聞くと意外なことに日本語のそれとあまり変わらない、とのことです。
香港・旺角。屋台が並ぶ路地から少し離れたところで撮影。混沌とした、80年代の漫画・アニメ的な雰囲気があって大好きです。多くの作家、イラストレーターがあの上に際限なく伸びる建物と街に憧れ、少年心そのままに今でも描いています。あの本当に言語化できない良さはなんなのか。
マカオ・セナド広場。世界遺産です。この度初の野宿はここのベンチでした。
中国・徳天大瀑布。中越の間の川の上流はこのような勇壮な滝になっています。小口高さんも前、Twitterで訪れたと仰っていました。嬉しみ。ちなみにあまりメジャーな観光地ではないので安宿、英語がちゃんと通じる店などはあまり...。
中国・ヨウイーグアン。中越の陸路国境。まさに、関所。ここでイミグレーションする訳ではありませんが、こういった門を潜ると国境超えてるな、という雰囲気出るので世界基準にしてほしい。キノの旅でみた。
ベトナム・ハノイ旧市街。説明不要、スパイス屋はそれだけで絵になる。
ベトナム・ベトナム鉄道車内。4500円でA/C付き2段ベッドの寝台列車に乗れてしまう。安いと見るか、高いと見るか。車掌でごった返す食堂車、同室のベトナム人老人会一行つき。
ベトナム・ミーソン遺跡。初めて日本人旅行者に会いました。この出会いがなかったら本当にキツかったと思います。ちなみに遺跡自体は微妙すぎる。費用は現地ツアーで900円でした。
ベトナム・ホイアン。提灯の街、ホイアン。Radio Headのクリープが聞こえたので弾き語りやってるバーに入ると、相場の倍ぐらいするビールばっかでした。勢いで行動するのは良くないですね。
カンボジア・プレアヴィヒア遺跡。ジープで上がって600メートル。最高の眺めです。シェムリアップの宿は、高知家というゲストハウスにお世話になったのですが本当によかったです。立地、パックツアー、足チャーター、雰囲気、全て最高のおもてなしだったと思います。いい出会いもたくさん。
タイ・ワットポー。49メートルの涅槃像。巨像フェチにはたまりません。バンコク、住みたいなぁ。
タイ・ワットパクーナム。B級スポットですが、この宇宙のような天井画には圧倒されます。民俗資料館もついて、無料やし。エレベーター付き。
マレーシア・ペナン島。海、久々に見たなぁ。ジョージタウンのインスタ映えっぽい雰囲気、どこかで感じたことあるなと思ったらホイアンだ!
マレーシア・ペナン島。沈む夕日。この後仲良くなった方と一緒に酒屋へ。マレーシアはお酒高いんですが、安めのとこがあります。それは酒屋。酒屋と呼ばれている。
インド・コルカタ。人生初の、憧れのインドでインドカレーを食す。めちゃうまでした。店主は本当に気のいいやつで、翌日ビリヤニ作って待っててくれた。子供達も顔覚えてくれてた。ちなみにサダムに捕まったのもここ。
インド・ダージリン。標高2000メートルの暮らしは思ったより優雅で楽しい。しかし坂道と若干の低濃度酸素が合わさるとへっぽこにはなかなか辛い高地トレーニングと化す...。
インド・バラナシ。ガンガーから街を見ると、それまでゴミゴミしていた街の詳細が見えなくなって、一見して美しい街並みに変貌します。インディア・マジックです。
インド・バラナシ。プージャというヒンドゥーのお祭りです。ガート(ガンガーの河岸)を埋め尽くすほどの人が集まるので熱量がすごい。それを毎日やってる。インドは、スケールが違う。
インド・ラールキラー。赤い城と呼ばれるムガル帝国のお城。入場料500ルピー。インドは結構多いのですが、外国人料金とインド人料金は10倍ぐらい差があります。
インド・ニューデリー。多分ラールキラーの中で撮った。「おい、セルフィー撮って!」と言われたので一緒にスマホで撮るのか?と思いきや、「俺たちを撮れ!」
アルメニア・セヴァン湖。冠雪のアララト山...ではないけど名も知らぬ山々を果てに臨む桟橋が印象的です。一緒に行った韓国人のおっちゃんがイランはいいぞトーク延々としてきてつらみだった。だって私イラン行ってないもん。
ジョージア・トビリシ。ジョージアはいいぞしますね。まず、街中の観光地には一律25円の地下鉄で行きましょう。そして、三位一体教会とナリカラ要塞はマストです。フリーマーケットもいいぞ。そして、ホステル・コンフォートプラス。行ってよかった宿第1位。
ジョージア・トビリシ。上流階級の仲間入り?この国では4000円だ。4000円持ってくれば君も貴族の仲間入り。
ジョージア・ムツヘタ。トビリシからマルシュトカ(乗合バス)で30分。1ラリ(40円)でいける。山の上の教会がマストらしいけど、行かなかったです。行きましょう。
ジョージア・カズベキ。この土地の本当の名前はステパンツミンダという。なんだか笑ってしまうような名前だけど、カズベキという名称はロシア語的なので、ジョージアごのステパンツなのだそう。笑ってしまうけど。
ジョージア・ステパンツミンダ。星空、人生で初めてちゃんと撮れました。りょうさんありがとうございました。
トルコ・ガラタ橋。この橋はイスタンブルのメインエリアを結ぶ。鯖を釣る男たちでごった返すが、意外とゴミが落ちてないのでちょっとだけ高評価です。
ブルガリア・ソフィア。一番何もしなかった国。間違い無い。めっちゃ寒い。他に感想ないかな...雨降ってきたし。
ブルガリア-セルビア国境付近。こういう雪景色が大好きです。あべこべクリームを塗って、この森に入っていきたい。
セルビア・ニコラ=テスラ博物館。テスラコイルの放電実験だ!この後全員博物館の壁にめり込んだり、発火したり、透明になったり、精神に異常をきたしたりしました。
セルビア・ベオグラード要塞。キノの旅っぽさないですか?私はあります。私があると言っているので。
セルビア・バール鉄道。ドレスさん(19) はポーランドの女の子で、セルビアに住む彼氏に会いにはるばるやってきた。朗らかな性格で、私を含め車内のみんなと仲良くなる。ファンをいっぱい作っちゃう。そんな彼女は彼氏の姿を見るやいなや激アツの抱擁、涙を流しながら愛を確かめ合ってました。愛って美しいものなんですね。
クロアチア・ポトゴリツァ。魔女の宅急便のモデルになったと言われる街。空さえ晴れてれば完璧だったのにね。今の季節なので、意外と人が少ない。
オーストリア・グラーツ。雪の城を求めて、ブーツで踏み締め歩いた極寒のグラーツの道。公共交通機関、使い方がわかんない。ちなみにこの城、私の貸切でした。
イタリア・ヴィネツィア。鶴田謙二のforget me notの世界がここにある。伊万里さんみたいな女の人ばっかでした。夏にまた訪れたいですね。forget me notは新装版が最近出ました。伊万里マリエルの顔がいいので買ってください。
チェコ・プラハ。お菓子の国みたいなまち。セックスマシンミュージアムがお気に入りです。ぶち壊し。
チェコ・プラハ。街中ではこんなメルヘンなものばかりです。セックスマシンミュージアムの方が楽しいけど。
チェコ・プラハ城。城とは?聖堂じゃないですか。ドイツの古城巡りしたいので誰か誘ってください。
ドイツ・ベルリン。壁です。それ以上でも、それ以下でもない。背景を知っていなければなんの感情もわかない。そんな、ただの壁にみんな苦しんでたんですね。
ドイツ・ケルン。この街が一番好きです。キュッと纏まってて、綺麗。ケルン大聖堂はずっとずっといきたかったから大満足でした。橋についてる何かは、これ全部南京錠です。恋愛の願掛けです。本当に隙間なくついてますよ。マジで。
イギリス・ビッグベン。英国の悪夢。改修中です。イギリスは本当に難しい。3日で回れるもんじゃないです。元号が元気モリモリご飯パワーになったらまた来ます。ご飯は美味しくないです。私見ですが。
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長くなりました。それでは、これにておしまいです。最後まで見てくださった奇特な方々、本当にありがとうございます。また次の旅行記でお会いしましょう。またこんど。